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【Claude Code活用特集】あの会社で一番使われてるSkillsは?Claude Codeの利用Skills Top5を大公開!
特集記事

【Claude Code活用特集】あの会社で一番使われてるSkillsは?Claude Codeの利用Skills Top5を大公開!

B!

本特集では、Claude Code活用を積極的に進める株式会社ダイニー、ディップ株式会社、株式会社LayerX、株式会社タイミーの4社に、社内でよく使われている Claude Code の Skills トップ5を公開いただきました。

どの企業もレビュー・QA・分析スキルが使われやすい傾向に

4社の回答結果を分析すると、共通した傾向が見えてきました。

  • PRレビュー・QA系のSkillsが各社で上位を形成。コミット規約やリリース手順など、開発組織・チームごとに異なるルール・手順をSkillsに落とし込む使い方。
  • 3社共通でBigQuery系データ分析Skillsが上位にランクイン。うち1社では、PdM・アナリストがエンジニアの約2倍で、「SQLを書かない職種」が主役。

ただ、活用が進むほど見えてくる悩みもよくお伺いします。「個人では使えているが、なかなか組織全体に適用しきれない」「AI活用を生産性向上にうまく結びつけられない」という声は少なくありません。

本記事を通じて、皆様の組織全体でのAI活用・成果創出の一助となれば幸いです。

それでは、各社がどんなSkillsを・なぜ作り・どうClaude Code活用が変わったのか、詳細を見ていきましょう。

株式会社ダイニー:利用トップのClaude Code Skillはデータ分析、障害の一次調査を誰でも担える状態に

飲食特化の All in One Restaurant Cloud を開発するダイニーでは、開発組織の全チームが日常的に Claude Code を活用しています。ここでは実際によく使われている Skills トップ5と、それらを作った背景、導入後に生まれた変化を紹介します。

本記事の対象チーム・プロダクトのご紹介

ダイニーは「飲食」に特化した All in One Restaurant Cloud を開発・提供しています。モバイルオーダー・POSレジ・CRM を中核に、キャッシュレス決済、予約管理、勤怠・労務管理、経営管理へとプロダクト領域を拡大しています。

今回の計測対象は、これらのプロダクトを開発する開発組織のエンジニアです。店内体験・P/L・新規集客といった体験領域別のチームに分かれて開発しており、全チームが日常的に Claude Code を利用しています。

なおダイニーでは Claude Code を開発組織だけでなく全社で活用していますが、本記事では特集の趣旨に合わせて開発組織に絞った利用実態を紹介します。

Skills トップ5

利用者数順で集計した、ダイニーの開発組織でよく使われている Claude Code Skills トップ5は以下のとおりです。

rank Skill名 概要
1 データ分析(bigquery) 本番・ステージング等の各環境のデータを BigQuery から調査・分析するSkill。障害調査やレポート作成の際に、自然言語の依頼からクエリを組み立てて実行する。環境ごとの接続先やコスト管理の前提知識を内蔵。
2 システムログ分析(cloud-logging) Google Cloud Logging を gcloud CLI 経由で検索・分析するSkill。エラー調査やアプリケーションの挙動調査の際に、適切なログフィルタを組み立てて横断検索する。
3 AIコードレビュー(rai-review) PRの差分を、リポジトリごとに管理された観点・ルールに沿って AI が多段レビューし、指摘を検証してから返すコードレビューパイプライン。ローカル・CI・定期実行のどこからでも同じレビューを呼び出せる。
4 エラーログ分析(sentry) エラーモニタリングツール Sentry を横断検索するSkill。プロジェクトをまたいだエラーの検索・分析・原因調査を自然言語の依頼から実行する。
5 リリースブランチ判定(identify-release-branch) 週次でカットされるリリースブランチの運用ルールをもとに、いま本番・ベータに載っているブランチや、修正PRをどのブランチに向けるべきかを判定するSkill。

計測期間:2026/04/14 - 07/16

※ Claude Code の OpenTelemetry イベントを BigQuery に集約し、skill_activated イベントを「1プロンプト × 1スキル = 1起動」として重複排除したうえで、社員マスタとの突合でエンジニア職のみを抽出して自社計測しています。起動数順では一部ヘビーユーザーの個人Skillが上位に来るため、組織への浸透度を表す利用者数順で集計しました(Anthropic標準・Claude Code組み込みのSkillと、日報・評価など全社共通の汎用Skillは除外)。

Skillsを作った背景

本番調査Skill群(bigquery / cloud-logging / sentry):調査の前提知識をSkillに埋め込んで属人化を解消

障害対応や問い合わせの一次調査では、BigQueryのデータ・Cloud Loggingのログ・Sentryのエラーを横断して見る必要があります。しかし環境ごとの接続先、ログフィルタの書き方、クエリのコスト管理といった前提知識が多く、調査が一部のメンバーに属人化していました。

そこで各ツールの前提知識をSkillに埋め込み、自然言語の依頼から安全に調査できるようにしました。たとえば bigquery Skillは、スキャン量とコストの見積もりを挟んでからクエリを実行します。

オンコールや障害対応で「まず AI に調査させる」が標準の動きになり、一次調査を誰でも担えるようになりました。

AIコードレビュー(rai-review):人間のレビュー前に機械的な指摘を潰す

レビュー待ちが開発リードタイムのボトルネックになりやすいこと、レビューの観点や深さがレビュワーによってばらつくことに課題感がありました。

rai-review は、PRの差分をリポジトリごとに管理された観点・ルールに沿って AI が多段レビューし、指摘をいったん検証してから返すパイプラインです。ローカルでの開発中でも、PR作成後の CI や定期実行でも、同じレビューを呼び出せます。

人間のレビューを置き換えるのではなく「人間のレビュー前に機械的な指摘を潰しておく」役割で、起動数では全Skill中トップになるほど開発フローに組み込まれています。

リリースブランチ判定(identify-release-branch):属人的だったリリース運用の知識をSkillに載せ、誰でも安全にリリース対応ができるように

ダイニーでは毎週リリースブランチをカットし、リリース後の修正をリリースブランチに入れると CI が新しいブランチへ自動で同期する、というメインラインモデルを運用しています。このため「この修正はどのブランチに向けるべきか」の判断にはリリースサイクルの知識が必要で、間違えると誤ったリリースへの混入や手戻りが発生するリスクがありました。

identify-release-branch は、リリースサイクルの運用ルールと現在のブランチ状況から、いま本番・ベータに載っているブランチと、修正PRのマージ先を判定します。

属人的だったリリース運用の知識をSkillに載せたことで、誰でも安全にリリース対応ができるようになりました。

Skills導入後のClaude Code活用の変化

Claude Code の使われ方が「コード生成」から「開発フロー全般」に広がりました。Skill によって指示の仕方による作業品質のばらつきが減り、これまで個人の経験に依存していた部分を標準化できています。

大きく変わったのは調査業務です。従来は担当領域に詳しいメンバーに集中していた障害・問い合わせの調査を、Skill が前提知識とガードレールを持っているために(SWE に限らず)誰でも担当できるようになりました。

この他にも優れた手順を個人の工夫で終わらせずスキルとして持ち寄る文化が定着し、開発フローのあらゆるステップで AI を通すことが標準になっています。

◆執筆:木村 純也(株式会社ダイニー Tech Lead / Engineering Manager)

ディップ株式会社:Claude Code Skillで開発フローの5工程をチーム標準化、レビュアーの認知負荷も低減

本記事の対象チーム・プロダクトのご紹介

コアエンジニアリング部(以下、CE部)では、部の開発プロセスを支える内製の開発支援基盤を整備しています。私はその主担当としてアサインされており、基盤の整備・運用と部内への展開を担っています。基盤は社内OSS的な体制で運営しており、主担当以外のメンバーもIssueやPRを通じて改善に参加できる形にしています。

Claude Codeを開発フローの中心に据え、Issueの起票から計画書の作成、Phaseごとの実装、PR作成、レビュー対応までを順番付きのSkillパイプラインとして整備しています。Skillはローカルの個人設定ではなく、部の共通資産として配布しており、複数のプロジェクトで同じものが動いている状態を維持しています。

Skills トップ5

rank Skill名 概要
1 Issue起票(creating-issue) GitHub Issueの起票と、GitHub Projectのフィールド設定までを一括で行う。Issueの粒度・必須項目は部の標準に揃える。
2 アイデア壁打ち(sparring-idea) Issueやアイデアを起点に対話を進め、議事メモを生成・収束させる。実装に進む前の解像度を全員同じ水準まで上げる。
3 作業計画書作成(creating-workplan) Phase構造の作業計画書をXMLで生成する。「1 Phase = 1 PR」の単位で実装が進む土台を作る。
4 実装〜PR作成(executing-plan 前半) 未完了のPhaseを1つだけ実装し、規約に沿ったコミットとPR作成までを行う。
5 レビュー対応(executing-plan 後半) レビュー指摘への返信・解決までを内部のstep handlerで処理する。

運用期間:2026/04/27 - 07/16

executing-plan は、もともと「コミット」「PR作成」「レビュー対応」が独立したSkillとして存在していたものを、現時点で1つに統合してきています。Phaseという単位の中に処理を畳んでいくことで、人間が判断・操作するポイントを意図的に絞っていく方向で進化させています。

なお、マージ操作だけはこのパイプラインから外し、必ず人間が手動で実行する運用にしています。AIが自律的に動く範囲と、人間が責任を持って判断する範囲の境界を、PR操作上にはっきり置いておきたいという判断です。

Skillsを作った背景

個人がSkillを自由に組み合わせて生産性を競う方向ではなく、チームの誰が使っても同じ順番で同じSkillを通る状態を成立させることに、ここ数か月の時間を投資してきました。その結果としてお見せできるのは、全員が同じ順番で通る5つの工程そのもの、ということになります。

個人の生産性が上がった瞬間、ボトルネックは人間レビューに移った

AIエージェントがメンバーの手元に入り、個人の作業速度は確かに上がりました。けれども同時に、開発フローのボトルネックは「個人がコードを書く時間」から「他のメンバーがレビューする時間」に移動しました。

Aさんが sparring-idea で解像度を上げ、creating-workplan でPhase分割し、executing-plan でPRを作ったとします。そのPRを受け取るBさんが、Aさんと同じパイプラインを通った経験を持っていなければ、レビューの判断軸も速度も揃いません。Aさんだけが速くなる構図は、結局チーム全体のスループットを引き上げないことが見えてきました。

個人のSkill使いこなしを積み上げても、AさんとBさんが同じレールに乗っていないと詰む。だからCE部は、個人の生産性ではなく、チームが同じ前提・同じ順番でSkillを通る状態をつくることに時間を投資してきました。

同じClaude Codeでも、誰が使うかで出力品質はぶれる

別のきっかけもありました。横展開先のプロジェクトでClaude Codeを使っていたとき、Claudeがこちらの開発パイプラインの存在を知らないままに動いていることに気づいたのです。何も知らない状態で問いを投げると、回答はその場の文脈と個人の問い方に大きく左右されます。

同じClaude Codeを同じ会社で使っていても、誰が使うかによって品質が揺らぐ。これは個人が頑張れば解決する問題ではなく、Skillとそれが前提とするドキュメント(規約、設計指針、用語定義)をセットで部内に行き渡らせる必要がある問題でした。Skillパイプラインの整備と並行して、Skillが参照する共通ドキュメントを部内に配布する仕組みも整えていきました。

Skills導入後のClaude Code活用の変化

Skillパイプラインを部全体に通すようになってから、開発者の感覚として最も大きく変わったのは「ルールを覚えていなくてもよくなった」ことです。先日、複数の作業を並列で進めようとしたとき、Claudeが運用ルールに反すると止めてくれた場面がありました。そのルールがどこに明文化されているのかを把握していなくても、Skillが規約を抱えて守ってくれているおかげで、レビューや本番への影響なく未然に防げています。

もうひとつは、Skillの追加・廃止の判断基準が、個人の便利さからチームの価値に切り替わったことです。「自分だけが助かるSkill」を見つけたときも、それを部の共通Skillに入れるかは、影響を受ける人数と提供できる価値で判断するようになりました。便利だが採用しない、という判断を能動的に行う場面が増えています。

Skillを順番に通せば部の最低限の品質で開発が回る状態は成立しており、レビュアー側の認知負荷も明確に下がっています。Skillの使い方を全員に教えるのではなく、Skillに沿って作業すれば自然と部の標準に揃う状態をつくる。これがCE部のいまの到達点です。

複数のプロジェクトに同じパイプラインを配布しているため、ある現場で生まれた改善が別プロジェクトに逆輸入されてくる動きも出始めました。チーム単位のAI活用に振り切ったからこそ立ち上がってきた循環です。

◆執筆:伊藤大地(ディップ株式会社 コアエンジニアリング部)

株式会社LayerX:利用トップのClaude Code SkillはPR自動レビュー、レビューの往復とリードタイムを削減

本記事の対象チーム・プロダクトのご紹介

LayerX Fintech事業部は個人向けの投資サービスを開発しています。プロダクト開発エンジニアが約7名在籍し、フロントエンド・バックエンド、インフラをフルスタックに開発しています。ClaudeのSkillsを開発フローに組み込み、日々の実装・レビュー・QAを中心にAI活用を推進しています。

Skills トップ5

rank Skill名 概要
1 PR自動レビュー(claude-code-pr-review) GitHubのPR差分を取得し、コメントの正確性・テスト網羅性・エラーハンドリング・型設計・コード品質・複雑性など複数観点で専門エージェントが自動レビューし、指摘を構造化して返すSkill。
2 QA項目書生成(qa-sheet) 現在のブランチとmainの差分を解析し、変更内容からQA観点(正常系・条件分岐網羅・デグレ・エッジケース・レイアウト)を洗い出して、Googleスプレッドシートに貼り付け可能なTSV形式のQA項目書を自動生成するSkill。
3 BigQuery分析アシスタント(bq-analysis) 読み取り専用クエリでデータ基盤を分析するSkill。KPI集計・ファネル分析・広告効果・ユーザー行動分析などをルールに沿って実行し、ビジネスインサイトを返します。
4 リリースPR作成(release-pr) featureブランチからmainへのリリースPRを作成する一連のワークフローを実行するSkill。QAシート確認、Notionリリースレコード作成、staging向けPRリンク収集、PR作成、URL追記までを一貫してガイドする。
5 コード簡素化レビュー(simplify) 変更されたコードを対象に、再利用・簡素化・効率・抽象度の観点でクリーンアップ案を洗い出し、そのまま修正を適用するSkill。バグ探索ではなく品質改善に特化している。

計測期間:2026/06/01 - 06/30

Skillsを作った背景

PR自動レビュー(claude-code-pr-review):レビュー観点を仕組み化して品質のばらつきをなくす

レビュー品質がレビュアー個人の経験や繁忙度に依存し、観点の抜け漏れが発生し、コードレビューの品質にばらつきがありました。特に金融プロダクトでは「エラーの黙殺」「ドキュメントと実装の乖離」が重大な不具合につながるため、人手だけに頼らず観点を仕組み化したいという狙いがありました。

そこで「コメント精度」「ユニットテストの網羅性」「型設計」「コードの複雑性」といった観点ごとに専門エージェントを分割し、PR単位で一貫した深さのレビューを自動実行できる構成としました。

レビュアーの一次負荷を下げつつ、レビュー観点を組織の標準として明文化することが技術的・組織的な背景です。

QA項目書生成(qa-sheet):差分からQA項目書を自動生成して属人化を解消

QA項目書の作成は、これまでQAエンジニアが仕様を確認してQAの知識と経験で書き起こしていたので、工数的な問題がありました。また、実装者が自分の変更のQA項目を書いた場合は正常系に偏り、条件分岐や既存機能のデグレ確認が抜けやすいという構造的な課題もありました。また、フォーマットが人によって揺れ、レビューや共有のコストもかかっていました。

そこで差分から機械的に変更種別・影響画面・分岐を抽出し、観点テンプレートに沿ってQAケースを生成、そのままスプレッドシートに貼れるTSVで出力する形にしました。属人的なQA設計を標準化し、作成工数を圧縮することが目的です。

BigQuery分析アシスタント(bq-analysis):暗黙知を集約して誰でも正しい前提で分析できるように

データ分析では「正しいデータソースを選ぶ」こと自体が専門知識が必要でした。例としてとあるデータを求める場合に、似たようなテーブルの何のカラムを参照するか、退会ユーザーを除外する/しない――といった現場のお作法を知らないと、もっともらしいが誤ったデータが出てしまう危険がありました。

こうした暗黙知を毎回人が確認するのは非効率で、分析担当以外がアドホックに数字を出すハードルも高い状態でした。

そこでスキーマ定義・ビジネス定義・禁止事項・実行前チェックリストをSkillに集約し、誰が使っても正しい前提でクエリを書ける状態を目指しました。

リリースPR作成(release-pr):抜け漏れの起きやすいリリース準備を定型フロー化

リリース作業は「QAシートは揃っているか」「リリース承認のためのデータは作ったか」など、手順が多く抜け漏れの起きやすい工程でした。属人的に進めると、リリース記録の作成漏れや含めるべきPRの取りこぼしが起こり、トレーサビリティが損なわれるリスクがありました。

手順書はあっても毎回参照しながら手作業で進めるのは負荷が高く、人によって完成度がばらつく点も課題でした。

そこでブランチ確認からPR作成・記録追記までの定型フローをSkill化し、必要なステップを順番に案内・自動実行することで、リリース準備を誰がやっても同じ品質で完了できるようにしました。

コード簡素化レビュー(simplify):マージ前に簡素化観点のクリーンアップを自動化

導入前はリリース準備が個人の記憶と手作業に依存し、ステップの抜け(リリース承認データ未作成、PRリンクの収集漏れ)が散発的に発生していました。

導入後は決まった順序でステップが進むため、必要な記録とリンクが揃った状態でリリースPRが作られるようになり、リリースのトレーサビリティが安定しました。

手順を覚えていないメンバーでもガイドに沿って準備を完了できるようになり、リリース担当の引き継ぎ・分散がしやすくなった点も効果です。「指示の出し方による作業のばらつき」が減り、リリース準備にかける心理的負荷とレビュー時の確認コストの両方が下がっています。

Skills導入後のClaude Code活用の変化

PR自動レビュー(claude-code-pr-review):レビュー観点を仕組み化して品質のばらつきが減少

導入前はレビュー指摘の深さ・観点がレビュアーごとにばらつき、人によってはテストやエラーハンドリングまで踏み込めていませんでした。

導入後はPR作成と同時に一定水準の観点チェックが必ず入るようになり、レビュアーは機械的に拾える指摘を任せて設計やドメイン妥当性の議論に集中できるようになりました。

結果として「言われないと気づかない」類の指摘が事前に解消され、レビューの往復回数とマージまでのリードタイムの削減につながっています。観点が言語化・共有されたことで、レビュー基準そのものがチームの共通言語として定着した点も大きな変化です。

QA項目書生成(qa-sheet):差分からQA項目書を自動生成して属人化を解消

導入前はQA項目書作成に都度まとまった時間がかかり、観点の粒度や網羅性も担当者依存でした。

導入後は差分を起点に短時間でドラフトが生成されるため、担当者は「ゼロから書く」のではなく「生成結果をレビュー・補強する」作業へと移行しました。条件分岐網羅やデグレ確認といった観点が定型で入るようになり、リリース後に「その分岐を確認していなかった」という抜けが減りました。

出力フォーマットが統一されたことで共有・レビューもスムーズになり、QA準備のリードタイム短縮と品質の下限の底上げを同時に実現しています。

コード簡素化レビュー(simplify):マージ前に簡素化観点のクリーンアップを自動化

導入前は、簡素化系の指摘がレビューコメントに混ざって優先度が下がり、「気づいてはいるが直されない」状態になりがちでした。

導入後は、コミット前やレビュー前に簡素化観点だけを切り出して自動でクリーンアップできるため、冗長なコードがマージ前に整理されるようになりました。

バグ検出と品質改善が別Skillに分かれていることで、目的に応じて使い分けられ、レビューコメントもノイズが減って本質的な議論に集中できるようになっています。結果として、コードの読みやすさ・再利用性が継続的に保たれ、後追いのリファクタリング負荷が下がりました。

◆執筆:髙橋健太郎(LayerX Fintech事業 VPoE)

株式会社タイミー:利用トップのClaude Code Skillはデータ分析系、PdM・アナリストの利用率はエンジニアの約2倍

本記事の対象チーム・プロダクトのご紹介

タイミーは「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービス「タイミー」を開発・運営しています。プロダクト開発組織ではClaude Codeを組織的に導入し、実装・レビュー・テスト・データ分析といった開発サイクル全体にAIを組み込んでいます。

直近30日では、Claude Codeを利用するメンバーは約200名です。そのうち約8割が何らかのSkillを利用しており、Skillは個人の工夫にとどまらず「チーム共通の型」として定着しつつあります。

Skills トップ5

rank Skill名 概要
1 データ分析(BigQuery等:bq-analysis / bq-studio / query-production 等 20種) 自然言語で分析目的を伝えるだけで、テーブル探索・SQL構築・実行・考察まで一気通貫で実行。ドメイン用語辞書やKPI定義をSkill内に組み込み、社内独自のデータ構造にも対応する。(利用回数:1,546回)
2 Git操作・コミット(git-commit / commit / branch-prefix 等 28種) プロジェクト固有のコミットメッセージ規約やブランチ命名規則に準拠した操作を自動化。28種のSkillが存在し、チーム・リポジトリごとにカスタマイズされている。(利用回数:620回)
3 テスト・品質保証(rspec / rubocop / steep-check 等 16種) RSpecテスト実行・RuboCop静的解析・Steep型検査をClaude Codeから直接実行し、失敗時はエラー解析と修正提案まで行う。QAハンドブックに基づくテスト設計Skillも含む。(利用回数:462回)
4 PR作成・コードレビュー(pr-create / code-review / android-code-review 等 24種) コード差分から変更意図・影響範囲を整理してPR本文を生成し、レビュー観点のチェックも自動化。バックエンド・モバイル各リポジトリで個別に最適化。(利用回数:335回)
5 設計・ハンドブック(design-doc / backend-handbook / qa-handbook 等 35種) Design Doc作成やストーリー詳細化、バックエンド開発ハンドブックの参照・実行をSkill化。組織のナレッジをSkillとして構造化し、設計判断の属人化を防止する。(利用回数:237回)

計測期間:2026/06/07 - 07/07

※ 順位は利用回数ベース。個別Skill単位ではGit系・Ruby系が複数ランクインするため、活用の全体像が見えやすいようジャンルごとに統合して集計しました。

Skillsを作った背景

データ分析(bq-analysis):SQLを書けなくてもデータに触れる組織へ

タイミーでは、施策の効果検証やKPIモニタリングにBigQueryを日常的に使っています。しかし、SQLを書けるメンバーは限られていました。PdMや事業企画が「先週のリピート率を地域別に見たい」といった簡単な集計でもエンジニアへの依頼が必要で、待ち時間が意思決定のボトルネックになっていました。

bq-analysis Skillは、この課題を解消するために作られました。自然言語で分析目的を伝えるだけで、テーブル特定からSQL構築・実行・考察までを一気通貫で行えます。Skill内にドメイン用語辞書やKPI計算式を組み込んでおり、社内固有のデータ構造を正しく扱えるようにしています。

結果として利用回数1,546回と全ジャンル中最多となり、職種を問わず組織で最も使われるSkillになりました。

利用者の職種構成を見ると、人数ではエンジニア(43%)が最多です。一方で、各職種の母数に対する利用率で見ると、傾向が変わります。PdMは44%、データアナリストは41%が利用しており、エンジニア(22%)の約2倍の利用率です。デザイナーも22%と同水準で利用しています。

SQLを書かない職種がデータに直接アクセスできるようになったことで、エンジニアへの依頼待ちが解消され、意思決定のスピードが上がったことがこの利用率の偏りに表れています。

データ分析ジャンル 利用者の職種内訳

PR作成・コードレビュー:レビューの質と速度の両立を実現

PR作成時に「変更の意図が読み取れない」「テスト有無が不明」といったレビュー効率を下げるフィードバックが慢性的に発生していました。また、レビュー観点もレビュアーによってばらつきがあり、見落としリスクを下げるために複数人レビューが常態化していました。

pr-create Skillはコード差分から変更意図・影響範囲・テスト有無を自動で整理してPR本文を生成し、code-review Skillはレビュー観点(バグ・パフォーマンス・セキュリティ等)で事前チェックを行います。

注目すべき点は、バックエンドとモバイル(Android)で異なるSkillバリアントを持っていることです。pr-create-android Skillやandroid-code-review Skillなど、プラットフォーム固有の観点を組み込むことで、汎用的なレビューSkillでは拾いきれないプラットフォーム特有の課題にも対応しています。約50名が利用しており、組織全体のレビュー品質の底上げにつながっていると考えています。

設計・ハンドブック:暗黙知を「実行可能なナレッジ」として構造化した

バックエンド開発には設計判断が多く伴います。「非同期処理の設計指針」「法務チェックのタイミング」「テーブル設計のパターン」など、経験あるメンバーの頭の中にある知見には課題がありました。ドキュメントとしてまとめても読まれなかったり、状況に応じた適用判断が難しかったりします。

バックエンド開発ハンドブックやQAハンドブックは、これらのナレッジをClaude CodeのSkillとしてパッケージ化したものです。設計フェーズでSkillを起動すると、ハンドブックの該当セクションを参照しながら設計方針を対話的に整理してくれるという体験を実現しました。ドキュメントを「読むもの」から「使うもの」に変えることで、組織の設計品質の向上とオンボーディングの加速につながっています。

利用者はエンジニア(約66%)が中心です。ただし、母数に対する利用率で見ると、データアナリスト(24%)・PdM(20%)・QA(20%)も高い水準です。また、利用者のうちエンジニア以外の職種も約3割を占めています。PdMがストーリー詳細化の際にバックエンドの制約を確認したり、データアナリストがテーブル設計の意図を把握したりと、職種を越えた「ドメイン知識の補完」として活用されています。また、Design Docのように設計文書そのものを扱うSkillはPdMやデザイナー、フロントエンドエンジニアにも利用が広がる動きが起きているようです。

設計・ハンドブックジャンル 利用者の職種内訳

Skills導入後のClaude Code活用の変化

Skill整備以前は、Claude Codeの使い方がメンバーごとにばらばらで、「何を・どの粒度で頼めばよいか」という入り口自体が属人的でした。ジャンル別に整理してわかったのは、Skillの効果が「開発ワークフローの標準化」と「利用者層の拡大」の二軸で出ていることです。

PR作成・テスト・Gitの3ジャンルはプロジェクト共通のSkillとしてリポジトリに配置したことでチーム全員が同じ型で使えるようになり、開発フローの品質が個人に依存しなくなりました。一方、データ分析ジャンルが最多になったことは、SQLを書かないPdMや事業企画のメンバーにまでClaude Codeの利用が広がった証左です。

現時点で、Claude Codeを使う約200名のうち約8割が何らかのSkillを日常的に利用しています。

また、設計・ハンドブックジャンルで35種ものSkillが使われている背景には、バックエンド/QAハンドブックを「読むドキュメント」から「起動するSkill」に変えた取り組みがあります。これにより、暗黙知の再現性を高める手段としてもSkillが機能し始めています。

OpenTelemetryでの利用計測を継続し、定着度と見直しの判断を回す運用サイクルも根づきつつあります。

◆執筆:林 美紀(株式会社タイミー AI・データ本部 AgentHarnessGroup)

皆様も分析してみませんか?

各社のSkillsに目を通すと、どれも最初から完成形だったわけではないことがわかります。現場の課題に合わせて作られ、効果や使われ方を見ながら改善が重ねられてきたものばかりです。こうした地道な積み重ねが、組織全体のAI活用を引き上げているのでしょう。Skills整備に唯一の正解はなく、自社の使われ方を起点に磨いていくことが、遠回りのようで一番の近道だと言えそうです。

では、記事をご覧の皆様の会社では、どのSkillsがどれだけ使われているでしょうか。その第一歩として、個人の環境で活用されてるSkills数・内容を分析できる無料の分析プロンプトを用意しました。Claude Code のログをもとに、皆様ご自身がよく使われているSkillsや改善の傾向を確認できます。

無料の分析プロンプトはこちら

あなた(Claude Code)自身のローカル利用ログを分析して、私がよく使っているClaude Code SkillsのTop5ランキングを作成してください。

## 前提・注意
- 分析対象は `~/.claude/projects/` 配下のローカルログ(*.jsonl)のみです。ファイルの読み取りだけを行い、内容の外部送信や変更は一切しないでください
- ログの保持期間の設定によっては、全期間の履歴が残っていない場合があります。実際に集計できた期間を結果に明記してください

## 手順

### 1. 利用記録の抽出(対象期間:直近30日)
Skillsの利用はログに2つの形式で記録されているため、両方を抽出してください。
- ユーザーが `/skill名` で手動起動した記録:userメッセージ内の `<command-name>` タグ
- AIが自動起動した記録:assistantメッセージ内の `"name":"Skill"` のtool_use(input.skill がSkill名)

参考コマンド(動作しない場合は環境に合わせて調整してください):

CUTOFF=$(date -v-30d +%Y-%m-%d 2>/dev/null || date -d '30 days ago' +%Y-%m-%d)
# ユーザー手動起動
grep -h '<command-name>' ~/.claude/projects/*/*.jsonl \
  | awk -v c="$CUTOFF" -F'"timestamp":"' '{split($2,a,"T"); if (a[1] >= c) print $0}' \
  | grep -oh '<command-name>/[^<]*</command-name>' \
  | sed -E 's|<command-name>/([^<]*)</command-name>|\1|'
# AI自動起動
grep -h '"name":"Skill"' ~/.claude/projects/*/*.jsonl \
  | awk -v c="$CUTOFF" -F'"timestamp":"' '{split($2,a,"T"); if (a[1] >= c) print $0}' \
  | grep -oh '"name":"Skill","input":{"skill":"[^"]*"' \
  | sed -E 's|.*"skill":"([^"]*)"|\1|'

### 2. 名寄せ・除外
- `プラグイン名:skill名` 形式はskill名部分に正規化し、手動起動とAI自動起動は同一Skillとして回数を合算してください
- Claude Codeのビルトインコマンド(clear / compact / config / cost / doctor / help / login / logout / mcp / model / permissions / plugin / resume / status / copy / usage など)はSkillsではないため除外してください。Skill定義ファイルが見つからず本体機能名らしきものも除外候補とし、除外した場合はその旨を脚注に書いてください
- この分析セッション自身の記録が拾われた明らかなノイズ(`[^` など)は除外してください

### 3. 概要の取得
Top5に入った各Skillについて、定義ファイルを探してfrontmatterのdescriptionを読み、日本語1〜2文の概要にまとめてください。
- 個人:~/.claude/skills/<skill名>/SKILL.md
- プロジェクト:各リポジトリの .claude/skills/<skill名>/SKILL.md、.claude/commands/<skill名>.md
- プラグイン:~/.claude/plugins/ 配下の **/skills/<skill名>/SKILL.md、**/commands/<skill名>.md
定義が見つからない場合は、そのSkillが使われたログの文脈から推定し「(推定)」と付記してください。

### 4. 結果の出力
以下の形式のMarkdownで出力してください。

計測期間:YYYY/MM/DD - YYYY/MM/DD

| rank | Skill名 | 概要 |
|---|---|---|
| 1 | **skill名** | 概要の説明文。(利用回数:N回) |
| 2 | ... | ... |

最後に「分析サマリとインサイト」として以下を述べてください。
- 分析サマリ:Skillsの総利用回数・利用したSkillsの種類数・手動起動とAI自動起動の比率
- インサイト:利用の偏り(開発系/非開発系など)から読み取れる使い方の特徴と、次に作る・整備すると良さそうなSkillsの提案

組織全体やチームの利用傾向、AI活用施策前後の効果などを分析したい場合は、弊社プロダクト「Findy AI+」にて無料で分析可能ですので、ぜひお試しください。

Findy AI+ は、Claude Code などの生成AIによる開発を、組織全体で標準化・最大化するためのプラットフォームです。どのSkillsが・誰に・どれだけ使われているかを可視化し、成果を伸ばす余地も、コストを抑える余地も判断しやすくなります。

また、本記事のようにSkills利用の可視化・改善を支援するFindy AI+の無料利用特典も1週間限定でご用意しましたので、この機会にぜひ可視化してみてください。

AI活用の成果を最大化し、コストを最適化する。その第一歩を考えるきっかけに本記事がなれば幸いです。

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